岩手県さんりく沿岸の学校関係者の皆様へ
(案内文から抜粋)
藪川のイワテヤマナシ
はじめに3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。神戸大学は17年前、阪神淡路大震災を経験し、大きな被害を受けました。その後全国各地の皆様から寄せられたご支援により、大学も、神戸の街も、復興を遂げることが出来ました。神戸大学はこの経験をふまえ、東日本大震災で被災された皆様の復興に、少しでも力になれたらと考え、様々な復興支援プロジェクトを立ち上げています。
その一つである‘校庭にイワテヤマナシの花を咲かせよう’について紹介させていただきます。神戸大学大学院農学研究科の片山先生は大阪市立大学大学院理学研究科の植松千代美先生とともに12年前から‘イワテヤマナシ’について研究を行ってきました。宮沢賢治の童話『やまなし』に登場する‘やまなし’はこの‘イワテヤマナシ’(別名:ミチノクナシ)であろうと言われています。
片山氏らはこの岩手県原産の野生の梨‘イワテヤマナシ’が絶滅の恐れがあるのではないかと危惧し、10年がかりで岩手県内をくまなく訪れ、その分布や生育状況を調査してきました。その調査を通じて、岩手県内各地の方々には大変お世話になりました。また研究が進むほどに‘イワテヤマナシ’が貴重な遺伝資源であることが明らかになり、岩手の宝であると痛感し、基礎研究が終了したあかつきには、ぜひともこの宝を地元・岩手にお返ししたいと考えるに至っておりました。
‘イワテヤマナシ’は春、純白の少しふっくらした可愛い花をつけます。また秋には小ぶりの実を沢山つけます。片山氏らはこれまでの研究で‘イワテヤマナシ’には香りが良い、甘酸っぱい、食べて美味しい、あるいは種がないため丸ごと食べられる、など様々な特徴を持つ木があることを見いだして来ました。「岩手の宝」と申し上げるゆえんです。
岩手県にこれらの研究成果を還元しようとしていた矢先に東日本大震災が起こりました。私たちにできる復興のお手伝いを考えたとき、岩手のシンボルともいえる‘イワテヤマナシ’の苗木を被災した学校に届けたいと、このプロジェクトを思い立ちました。‘イワテヤマナシ’の苗木を植え、何年か先に花をつけ、実をつける日を思いながら育てていただければ幸いです。木を植えることは未来に思いを馳せ、目を向けることと考えます。‘イワテヤマナシ’が校庭の片隅から学校や子どもたち、地域の復興を見守ってくれることを願っています。
食資源教育研究センター長 伊藤 一幸
第1回の取り組みとして、本プロジェクトの説明に片山・植松、ならびに神戸大学職員1名・学生1名の4名でが12月5日から14日にかけて、岩手県のさんりく沿岸の陸前高田から宮古までの約50の小中高等学校を訪問させていただき、2012年3月11日までに55本の苗木を送付することになりました。
宮古駅前にて参加者記念撮影
今回の旅では約半分しか訪問できませんでしたので第2回では宮古から久慈までの小中高等学校を巡り本企画のご説明に参りたいと考えています。
この案内をご覧いただき、本プロジェクトにご興味お持ちいただけましたら、お手数ですが、片山までメールでご連絡下さい。次回の岩手訪問時に可能な限り直接ご説明させていただきたく存じます。なお‘イワテヤマナシ’苗木のご希望については今年度だけでなく、いつでも受けつけますので学校の環境が整った時点で遠慮なくご相談下さい。‘イワテヤマナシ’の苗木は無料で送付させていただきます。なお、今回お分けする‘イワテヤマナシ’の果実は食用にもなります。
陸前高田 奇跡の一本松